インプラント治療と糖尿病 2021年4月19日
糖尿病は、インプラント手術のリスク因子でありインプラント治療の成功を妨げるリスク因子でもあります。
糖尿病は、糖(ブドウ糖)が体の臓器や組織で利用されづらくなり血液中に増える病気です。糖は臓器や組織でエネルギー源として利用されているので、これが利用されづらくなると臓器や組織の活動が悪くなり、体の免疫力が落ちて色々な病気に感染しやすくなったり、傷が治りづらくなったり、疲れやすくなったりします。また、糖が血管の中(血液中)に増えると血管や血球(血液)の状態を悪くして臓器や組織へのエネルギーの供給を更に悪くします。
糖尿病には、体の中の糖のバランスを整えるインスリンというホルモンがつくられなくなる1型と遺伝や食生活によって血液中に糖が増える2型があります。
1型においては、インスリンは膵臓ランゲルハンス島β細胞でつくられ体の中の糖のバランスを整えるほかに骨のもととなる細胞の成長にも関わっているので、これが不足すると骨を骨粗しょう症のような状態にしてしまいます。
2型においても、血管の中に糖が増えると尿へせカルシウムの排泄を増加させたり二時的に副甲状腺ホルモンの分泌を増加させたりして、骨の状態を悪くします。
このように糖尿病は、体の様々な機能を低下させばい菌に感染しやすくしたり骨の状態を悪くしたりするのでインプラント治療の妨げとなります。しかしながら、糖尿病の方がインプラント治療を受けられないというわけではありません。空腹時血糖値140mg/dl以下、HbA1c6.9%以下、ケトン体(-)にコントロールされていればインプラント治療は可能です。
糖尿病は症状が明確でない病気でもあります。インプラント治療をご検討されていらっしゃる方におかれましては、健康診断などの結果とあわせて執刀医にご相談されることをお薦めいたします。
添田博充 医学博士
医療法人社団添田グループ/ハート歯科
259-1132神奈川県伊勢原市桜台1-11-24